Research Theme

研究内容

野生動物管理 / 生物多様性保全:ヒューマンディメンション

野生動物による農林業被害や人身被害など、野生動物と人との軋轢は世界中で問題となっています。日本でも、特に中山間地域では、過疎・高齢化による住民主体の被害対策実施の難しさ、狩猟者の減少による野生動物の個体数管理の難しさなどが相まって、野生動物による被害は社会問題となっています。

野生動物に関する研究は、これまでは生態学、生物学、獣医学など、動物そのものに焦点を当てたものが多かったですが、軋轢を防ぐためには、人々の意識や行動、更に政策や法律についても理解を深める必要があります。こういった社会的側面に関する情報の獲得とそれに伴う意思決定の促進を目指す学問がHuman Dimensions of Wildlife Management(野生動物管理における社会的側面)=ヒューマンディメンションで、北米で1970年代より発展し、現在では学問として根付いています。

「野生動物と住民との共存を実現するための地域づくりを行う実践科学」であるヒューマンディメンションを日本に定着させることを目標に、私は研究をしてきました。具体的には、これまで地域住民の野生動物(ツキノワグマなど)に対する意識やそれらに影響を与える心理的要因の把握、住民の被害対策行動を促進するための要因の把握、行政による普及啓発事業の評価、更に住民参加型の野生動物管理の提案などの研究をしてきました。

ヒューマンディメンションについては、以下もあわせてご覧ください。

栃木県における住民参加型の被害対策活動の様子

またヒューマンディメンションに関する一連の研究の成果や、日本をはじめアジアでヒューマンディメンション研究をすることの意義については、以下の書籍にまとめています。

Sakurai, R. 2019. Human dimensions of wildlife management in Japan: from Asia to the World. Springer Singapore.

ヒューマンディメンション研究に関する論文の例

兵庫県におけるツキノワグマの保護管理

クマの保全管理に関する総説

栃木県における獣害対策モデル地区事業

野生動物問題に関するメディア分析

絶滅種の再導入に関する実現可能性研究